ロジックは「後」でいい。企画を成功させるための最初の正しいステップ

Last update: 2026,3,19

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基本、企画の正解は「ロジック」ではなく、あなたの「感情」の中にある

私は(一般社団法人地域改革代表理事)は、よく「発想力が豊かですね」という言葉をいただきます。 しかし、私自身はそうは思っていません。私はただ、自分自身が「必要だ」と心から感じることを、純粋な感情に従って形にしているだけです。

企画において私が最も重要視しているのは、最初の「何をするか(コンセプト)」です。ここがすべての軸となり、その後の成否を決定づけます。

この軸が「自分事(じぶんごと)」になっていなければ、主催者自身のモチベーションは続きません。結果として企画から魅力が失われ、成功から遠ざかってしまいます。私は「やりたいこと」を決めた後にこそ、それを実現するためにロジックをフル活用しますが、この順番を間違えてはいけません。

別の企画講座を受けた受講生の伴走支援をしていて、非常にもったいないと感じるケースがあります。それは、最初から難しいロジックやフレームワークに当てはめようとするあまり、自由な発想が抑えられ、動機のない「冷めた企画」になってしまっていることです。

受講生に「それは本当にやりたいことですか?」と問うと、「教えられた通りに型に当てはめました」という答えが返ってくることが少なくありません。一度ゼロベースで「やりたいこと」を掘り起こし、そこからアイデアを絞り込んでいくと、受講生の目が輝きます。頭の中がクリアになりワクワクが生まれ、真にやりたいことが生まれます。
そうして見つかった真のやりたいことは、途中で壁があってもそれを超えるエネルギーを生み出します。

企画の本質は、人々の共感を生む「感情」にあります。ロジックはその次です。
スタート地点は、シンプルで構いません。まずは目的を見失わず、自分事としてワクワクしながら考えること。ロジックだけでコンセプトを磨き上げるのは非常に高度な技術を要するため、まずは「基本」として、自分の内側にある熱量を大切にすることから始めてみてください。
参照:企画を生み出すのは「発想力」ではない

ロジックは「諸刃の剣」――経験を重ねて初めて最強の武器になる

企画の初期段階(コンセプト設計)において、ロジックを活用して優れた案を生み出すことはもちろん可能です。しかし、これはあくまで「上級者向け」の手法であると私は考えています。

例えば「哲学思考」を取り入れることで、これまでにない視点や、マンネリを打破する気づきを得られることがあります。しかし、これらは主に思考の行き詰まりを突破しようとするベテランや、凄まじく尖ったコンセプトを打ち出すディレクション能力の高いプロが使いこなす技術だと考えます。
私自身、20年以上企画に携わってきましたが、今まさに学びたいと感じているのがこの「哲学志向」でもあります。

実は、コンセプト設計のノウハウは世の中に数多く存在します。
弊社でも3時間の短期講座を実施していますが、アンケート結果には興味深い傾向があります。経験豊富な方からは非常に高い評価をいただく一方で、未経験の方の満足度は下がる傾向にあるのです。講座内容はあえて極限までシンプルに削ぎ落とし、より深いロジックは伏せているにもかかわらず、です。

この結果が示すのは、多くの論理的ノウハウは「経験を積んで初めて使いこなせるもの・理解できるもの」だということです。

ここで伝えたい事は、基本は「感情」からつくる。 経験値が高まりロジックを使えるようになれば使ってもよいということです。
私は、現在も8割以上が「感情」のみで構築しています。

目的やテーマがある場合も、感情から考えてみる

目的やテーマがあらかじめ決まっている場合もありますが、基本は同じ考え方です。

支援例①
ある時、高校の授業で「観光」をテーマにした企画を考えているという生徒さんが、弊社に相談に来てくれました。
最初に見せてもらった企画書は、非常に複雑で内容が掴みにくく、本人も自分の言葉でうまく説明できない状態でした。
「どうしてこの内容になったの? 本当にやりたいことは何?」と尋ねると、学校で教わった企画のノウハウやフレームワークに、一生懸命内容を当てはめて考えた結果だということが分かりました。

そこで私は、一度ロジックを横に置き、こう問いかけてみました。
「高校生のあなた自身が、『こんな観光企画があったら絶対に行きたい!』と思うのはどんなものかな?」
すると、先ほどまでの曇った表情が消え、自由で楽しいアイデアが次々と溢れ出しました。最終的に、その中から自分自身が一番ワクワクするものを選び、「これを形にしよう」と決まりました。

相談を終える頃、その生徒さんは「頭の中がスッキリしました! これならどんどん内容を詰められそうです」と、晴れやかな表情で帰っていきました。

この事例からも分かる通り、経験の浅い段階で難しい理屈(ロジック)を優先してしまうと、企画が悪くなり、自分自身の「やりたい」というエネルギーも消えてしまいます。
まずは「自分事」としてワクワクする感情を動機に据えること。それが、企画を前に進める一番の原動力になります。

支援②
20代後半の方の伴走支援をしていた際、会社からの依頼で「地域貢献(観光客増)と会社の収益化」を目的とした事業を立ち上げる必要がありました。また、勤め先が印刷会社であったため、収益テーマを「印刷」に繋げるという制約もありました。

最初の面談で彼から出てきたのは、「観光パンフレットの制作」という案でしたが、本人の表情からはあまり意欲が感じられませんでした。そこで私は、一旦目的やテーマを脇に置いて、彼自身が本当にやりたいことを尋ねてみました。すると、「バイクが好きなので、ジャンルを問わないオールジャンルのバイクミーティングを開催したい」という本音が返ってきたのです。

私は「それにしよう」と伝え、そこから彼のやりたいことを会社の目的やテーマに合わせていくことにしました。ターゲットを県外のバイク好きにも広げ、広報の過程で多くの印刷物が必要になる仕組みを整えることで、地域への観光集客と会社の利益という条件をクリアする座組を作ったのです。

このイベントは大成功を収め、継続して開催される予定です。実施までの道のりでは、本業との両立や活動の負担など大変なことも多々ありましたが、もし内容がバイクミーティングでなければ、途中で頓挫していたはずです。最後までやり遂げることができたのは、彼自身が心からやりたいことだったからだと断言できます。

まずは感情(動機)からコンセプトをつくり、その後に目的やテーマを擦り合わせていく。この手法こそが、良いコンセプトを生み、かつ困難な状況でもやり抜くための最善の順番であると考えています。

この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
伴走支援では、プレイヤーの事業を通してノウハウを活用し支援・育成を行っております。