企画には、外側の面白さと内側の設計がある
まちづくり活動において、企画をつくる力は非常に重要です。
しかし、企画力とは、単に面白いアイデアを思いつく力だけではありません。
また、予算やスケジュール、手法立案、役割分担をきれいに整理する力だけでもありません。
企画には、大きく分けて2つの要素があります。
1つは、企画を成功させるための内部設計です。
もう1つは、人が「面白そう」「行ってみたい」「関わりたい」と感じる世界観です。
前者を「ロジック」、後者を「感性」と考えると、企画づくりは非常に整理しやすくなります。
一方で、実際の企画構築は、「感性」のみで行われていることが多いと感じています。
「これは面白そう」
「これは人が集まりそう」
「これは地域に合いそう」
このような直感や感覚から企画が生まれることは少なくありません。
そして、成功している企画の多くには、良いコンセプトがあります。
コンセプトが弱い企画を成功させるには、非常に高いレベルのロジックや設計力が求められます。
逆に、コンセプトが良ければ、多少設計が不十分であっても、進めていく中で成功に近づきやすい面があります。
良いコンセプトをつくれる方には、感性が豊かであったり、これまでに多様な体験を重ねてきたりしている方が多いように感じます。
つまり、企画において感性は非常に重要です。
ただし、その感性を実際の成果につなげるためには、ロジックによる内部設計も必要になります。
企画を住宅で例えると
住宅には、まず家として成立するための内部設計があります。
例えば、構造、耐震性、断熱性、生活動線、収納、配管、電気、予算、工期などです。
これらが整っていなければ、どれだけ見た目が良くても、住みにくい家になったり、そもそも建築できなかったりします。
これは企画でいうところのロジックです。
一方で、住宅にはコンセプトやしつらえもあります。
どのような暮らしを提案するのか。
外観や内装の雰囲気はどうするのか。
木の温かみを出すのか、ホテルライクにするのか、家族が集まりたくなる空間にするのか。
これらは、人が「この家に住みたい」「この暮らしをしたい」と感じる部分です。
これは企画でいうところの感性です。
つまり、住宅で言えば、
内部設計がロジック。
コンセプトやしつらえが感性。
です。
おしゃれで魅力的な家でも、構造や動線、予算設計が甘ければ、実際には建てられない、住みにくい、維持できない家になります。
逆に、構造や性能がしっかりしていても、コンセプトや空間の魅力がなければ、「住みたい」と感じてもらいにくい家になります。
企画も同じです。
面白い世界観だけでは、実行や継続に至りません。
一方で、設計だけが整っていても、人の心は動きません。
成功する企画には、住宅と同じように、成立させるための内部設計と、人を惹きつける世界観の両方が必要です。
ロジックとは、企画を成功に近づける設計
ロジックとは、企画を成立させるための設計です。
・誰をターゲットにするのか。
・どうやって集客するのか。
・どうやって収益をつくるのか。
・誰が何を担当するのか。
・どのように運営するのか。
・どこにリスクがあるのか。
・具体的な手法をどうするのか。
・次回以降も継続できるのか。 など
このような企画の内側にある構造が、ロジックです。
ロジックが弱いと、アイデアは面白くても、実行段階で詰めの甘さが出てしまいます。
例えば、
・集客はできたが赤字になった。
・当日の運営が混乱した。
・1つのミスで企画が大失敗となった
・スタッフが疲弊した。
・協賛が取れなかった。
・1回きりで終わってしまった。
このような失敗は、企画の面白さが不足していたというよりも、成功するための設計が不足していたことが原因で起こります。
また、10回に1回、100回に1回しか起きないようなトラブルまで想定しきれていないことも要因となります。企画運営では、たまたま起きなかっただけのトラブルも少なくありません。そうしたリスクを事前に想定し、防ぐための設計を行うことも、成功する企画には重要です。
ロジックは企画の成功確率を高めるための土台です。
感性とは、人の心を動かす世界観
一方で、感性とは、人の心を動かす力です。
・どのようなコンセプトにするのか。
・どのような名前にするのか。
・どのようなストーリーを持たせるのか。
・どのような空気感をつくるのか。
・参加者にどのような体験を提供するのか。
・写真を見たときに「行きたい」と思えるか。
・その地域で実施する意味があるか。
このような、企画の外側に見える魅力や世界観が感性です。
世界観がないと、企画設計は整っていても、人の心が動かない場合があります。
・予算もある。
・スケジュールもある。
・役割分担も決まっている。
・運営体制も整っている。
・手法も完璧で抜けが無い。
しかし、参加者から見ると「何が面白いのか分からない」「なぜ行く必要があるのか分からない」という企画になってしまう場合があります。
これは、まちづくり活動でもよく起こります。
制度や体制は整っているのに、住民や事業者が参加したくならない。
イベントはしっかりしているけど、行こうとまでは思わない。
行政的には正しいが、地域の人の感情が動かない。
このような企画は、ロジックはあっても感性が不足している状態です。
面白い企画でも、設計が弱いと失敗する
企画初心者でも、非常に面白い企画を考える人がいます。
「これは人が集まりそう」
「これは話題になりそう」
「これは地域に合っている」
このような感覚が優れていたり、新たな概念を作れる人です。
実際に、感性が強い人は、初めての企画でも大きな反応を生み出すことがあります。
しかし、感性だけでは企画は継続しません。
・集客導線が弱い。
・収益設計がない。
・役割分担が曖昧。
・当日の運営が整理されていない。
・細かい詰めが甘い。
・次回につながる仕組みがない。など
このような状態では、たとえ1回目が成功しても、継続することが難しくなります。
面白い企画をつくれることは大きな強みです。
しかし、その面白さを成果につなげるためには、ロジックによる設計が必要です。
設計がうまくても、面白みがなければ人は動かない
逆に、設計が非常にうまい人もいます。
・予算管理ができる。
・スケジュールを組める。
・関係者調整ができる。
・リスク管理もできる。
・資料もきれいに作れる。
・手法も完璧にできる。
これは非常に重要な力です。
しかし、そこに感性がなければ、企画は無難になりやすくなります。
失敗はしにくいが、大きく人を動かせない。
きれいにまとまっているが、記憶に残らない。
実施はできるが、話題にならない。
このような企画になってしまいます。
まちづくり活動においては、参加者や地域の人が「参加したい」「自分も関わりたい」と思えることが重要です。
そのためには、正しい設計だけでなく、人の感情を動かす世界観が必要です。
ロジックは鍛えやすく、感性も磨くことができる
ロジックは、比較的鍛えやすい力です。
成功事例を学ぶ。
失敗を分析し次失敗しないよう仕組化する。
チェックリストをつくる。
企画書の型を持つ。
集客、収益、運営、継続のポイントを整理する。
このような学習によって、一定レベルまでは高めることができます。
一方で、感性はロジックほど簡単にマニュアル化できるものではありません。
ただし、感性は生まれ持った才能だけで決まるものでもありません。
・面白いものを見てきた量。
・人の感情を観察してきた量。
・良い企画や良いお店、良いイベントに触れてきた量。
・異なる要素を組み合わせる経験。
これらによって、感性は磨かれていきます。
つまり、感性とは単なるセンスではなく、観察と経験の蓄積でもあります。
成功する企画は、感性とロジックの掛け算である
企画は、感性だけでも成立しません。
ロジックだけでも、人は動きません。
感性だけの企画は、面白いが詰めが甘くなりやすいです。
ロジックだけの企画は、整っているが面白みに欠けやすいです。
最高に良い企画には、両方が必要です。
人の心を動かす世界観をつくる。
その世界観を、実行・集客・収益・継続までつながる設計に落とし込む。
この両方があって、初めて企画は成果につながります。
つまり、企画力とは、
「人が動きたくなる世界観をつくる感性」と、
「その企画を成功に近づけるロジック」の掛け算です。
感性を成果につなげるロジックとして届ける
弊社では、主にまちづくり活動に必要な「ロジック」を提供しています。
世の中には、感性が豊かで、面白い企画を生み出せる方が多くいます。地域の魅力を感じ取る力、人が喜ぶことを考える力、独自の世界観をつくる力は、まちづくりにおいて非常に重要です。
一方で、感性はその人の先天的な資質や、これまでの経験値に左右される部分も大きく、すべてを簡単にロジック化できるものではありません。
しかし、現在のまちづくり活動の多くは、感性や思いつきに頼りすぎており、成功するための設計が不足しているように感じています。
面白い企画であっても、集客、収益、役割分担、運営、継続の設計がなければ、実行に至らなかったり、実施できても一過性で終わってしまったりします。
だからこそ、感性にロジックを加えることが重要です。
感性のある方にロジックが加われば、企画の成功確率や質が高まり、自走できる可能性が大きくなります。
また、感性が豊かでない方であっても、ロジックを活用することで、企画の質を高めることができます。ターゲット、目的、導線、収益、運営、継続性を整理することで、企画は単なる思いつきではなく、成果につながる形へと変わっていきます。
ロジックは感性を否定するものではありません。
感性を活かし、企画を実行可能な形に整え、成功確率を高めるためのものです。
弊社の役割は、このロジックを日本のまちづくりに届けることです。
そのために、弊社では自社でもまちづくり事業を実施し、現場で検証を重ねています。そして、その経験を言語化し、再現可能なロジックとして整理しています。
感性だけに頼るのではなく、感性を成果につなげるためのロジックを持つこと。
それが、これからのまちづくり活動に必要な考え方だと考えています。
この記事はノウハウの一部を簡潔に紹介しております。
手法・事例の詳細は文字では全て書ききれない為、省かせて頂いております。
伴走支援では、プレイヤーの事業を通してノウハウを活用し支援・育成を行っております。