※当事例は2015年、弊社代表がボランティアとしてまちづくり活動を行っていた時代のものです。この成功が、弊社設立の契機となりました。
【課題】
福井市中心市街地では、10年以上にわたり空きテナントが増加し続けていた。これまでにも出店補助制度などの施策が行われてきたが、最大150万円の補助金が出るにも関わらず目立った成果は得られず、抜本的な改革が必要とされていた。市民から挙がる声も、「駐車場の無料化」といった現実的な解決にはつながらないものばかりで、まち全体を動かすような方向性が見えなかった。

【プロジェクト立ち上げ】
このエリアでイベントを実施していた縁もあり、商店主から「まちを活性化してほしい」という相談を受けた。弊社代表は、中途半端な施策では何も変わらないと感じ、新たに「美」をテーマにした『美のまちプロジェクト』を立ち上げる決断をする。ビューティー系の店舗を集約し、「来たくなる理由=来街動機」をつくることを目指した。ただ、立ち上げ当初は地元商店主や自治体からの批判や懸念も多く、プロジェクトへの参画者も現れず、厳しい船出となった。
【戦略】
・まずは空きテナントを20カ所以上借りて、2日間限定の仮想ビューティー商店街イベントを開催。これが話題を呼び、一定の成功を収めた。
・その参加者たちを軸に、本格的なプロジェクトとして始動。
・ビューティー分野に特化した販促組織を立ち上げ、広告費に見合う成果が出せるよう、費用対効果の高い共同販促を展開。
・販促の効果は数値化して公表し、出店者にとってのメリットを“見える化”することにも注力した。
【実施したこと】
(1)販促組織の設立
弊社代表が事務局を担い、月に1回以上、定期的に販促活動を企画・実施。
(2)空きテナントへの出店誘致
自治体やまちづくり会社と連携し、現地ツアーや説明会を開催。実際に現場を見てもらうことで、出店へのハードルを下げる工夫をした。
(3)自治体・企業とのタイアップ企画
話題性のある企画を次々と打ち出し、集客と連携先の開拓を両立させた。
【事業の結果】
2015年3月、11店舗の同時オープンに成功。開業当初は家賃を半額に抑えての契約だったが、同年7月に新たに4店舗がオープンした際には通常家賃での契約が成立。その後も勢いは続き、1年で計22店舗のビューティー出店を実現した。これにより、長年減少し続けていた出店数は回復に転じ、市の家賃補助も終了。コインパーキングも一斉値上げとなりエリアの価値が大きく向上する結果となった


【反省】
プロジェクトの拡大に伴い、外部メンバーを迎えて法人化を図ったが、一部のメンバーと方向性の違いが顕在化。最終的に弊社代表は代表を辞任することになった。その後、プロジェクトは急速に衰退。3度にわたり代表復帰の打診も行ったが、関係者の一部から拒否され、プロジェクトが持ち直すことはなかった。
実行するのは弊社代表に対して、実行しない人達が同じ立場で決める組織形成をしてしまったのが混乱の原因となった。組織を拡大する際の判断ミスとして、深く反省している。
【学びと決意】
このプロジェクトでは、予算も実績もゼロの状態からスタートしたにも関わらず、自治体が10年以上できなかった成果を生み出すことができた。自治体の強みと民間の強み、それぞれの役割を見極めた結果だったとも言える。と同時に、プロジェクトの成否は「何をやるか」ではなく「誰がやるか」にかかっているという本質を強く実感した。人材育成こそが、持続的なまちづくりには欠かせない。この経験を糧に、以下の会社設立へとつながっていく。
2016年:福井市中心市街地活性化会社「一般社団法人EKIMAE MALL」設立
2020年:福井県のまちづくり会社「一般社団法人福井県まちづくりセンター」設立
2024年:全国規模のまちづくり会社「一般社団法人地域改革」設立